珪藻土は藻類の一種の珪藻が石化したものです。
珪藻というプランクトンが大量に増殖,死滅,そして沈積し,永い年月を経て珪藻土鉱床が作られ、そこから産出される化石を珪藻土と呼びます。
珪藻土とは
珪藻とは10万種以上の種類を持つ植物性プランクトンです。皆様の身近の海、川、池、水田、水槽、水路など様々な水の中に生息しています。
地球上の珪藻土が生み出す酸素の量は、全世界の光合成生物が放出する酸素の25%にも達すると言われており、生物が生息する上で、欠かす事のできないプランクトンです。
珪藻土の産出地、埋蔵量
米国、欧州、アジアで産出され、全世界の保有鉱量は約8億tと推定されています。
現在の世界の推定消費量の200年分以上の資源があると見込まれています。
なお、主な産出国は米国(36%)、中国(19%)、日本(10%)、デンマーク(10%)です。
珪藻土の利用方法について
日本では古くから炭火を入れ使う七輪として、家の土壁の材料として、また漆器で有名な輪島塗の下塗材としても使われています。
世界では古代ギリシャ時代には研磨剤や水に浮く土として軽量レンガに利用されたり、イスタンブールには珪藻土で聖ソフィア寺院のドームが建築されたりしています。
珪藻土が今日のように工業的に利用される契機としてダイナマイトの発明があげられます。ノーベル賞で有名なアルフレッド・ノーベルが非常に不安定な液体であるニトログリセリンを安全に取扱うために珪藻土粉末を使用したことは有名なお話です。「ダイナマイト」の語源は「ダイアトマイト(珪藻土)」からきているといわれます。また、そのノーベルと同年代より液中の固形分を除去するための濾過助剤としても用いられ始めました。その後、製造方法なども改善され、現在では最も優れた濾過助剤として食品工業をはじめ多くの産業で使用されています。
珪藻土の採掘方法について
1985年頃までは、“つるはし”や“スコップ”で採掘され,表土が厚い鉱区では坑道堀が行われていました。近年ではパワーシャベルなどの採掘機器を用いた露天掘で採掘が主流となっています。
海外では,中国の臨江(長白山)地区の鉱床や,チリなどでは坑道堀、また、アイスランドのミーバトン湖では湖底の珪藻土(泥)をポンプで採取しています。
珪藻土の製品化について
主な使用用途は濾過助剤,塗料などの充填剤,建築材料,断熱レンガ,土壌改良材です。
採掘をした珪藻土(原土)に含まれる有機物などの余分な成分を約1,000度の炉で焼成処理することによって取除き、空気分級によって珪藻土(製品化したもの)の粒を揃えお客様に出荷され、皆様の生活の色々な場面で活躍しています。
多孔質な珪藻土
珪藻土は、数十ミクロン(μm)の粒子で数ミクロン(μm)~サブミクロン(μm)の細孔を持った多孔質素材です。
濾過助剤としての用途がよく知られておりますが、更なる機能追求としてポーラスな特性を活かし、その細孔に様々な物を固定化・担持させ、担体、触媒、吸着材、キャリアの基材として活用の場も検討されております。
例えば、食品業界のバイオリアクターへの利用もあります。
また多孔質素材ゆえ、吸水量、吸油量が多く充填剤として増量効果があります。主成分はシリカで、化学的には活性が低く安定しており、基材にはもってこいの特徴です。
下図は、数ミクロン(μm)~サブミクロン(μm)の細孔状態の電子顕微鏡写真であり、一例をご紹介します。